• 予防ワクチン:マラリア、HIV-1、デングウイルス

世界保健機関は、全世界における特定の感染症の患者数を、年間2億5000万人超と推定しており、これは全世界の年間死亡者数の16%にあたります。製品パイプラインが強固であるにもかかわらず、感染症市場には高いアンメットニーズがあります。特に、マラリアやHIV、デング熱などのワクチンは未だなく、世界初のワクチン開発が強く望まれています。

マラリア

マラリアは、現在も世界で最も深刻な熱帯感染症です。プラスモジウム属の寄生虫が原因となる疾患であり、感染した蚊に咬まれることで人への感染が起こり、高熱、悪寒戦慄、風邪様症状および貧血を引き起こします。感染後、寄生虫(スポロゾイト)は血流を介して肝臓まで移動し、そこで成熟しメロゾイトとして放出されます。メロゾイトは血流に入り、赤血球に感染し、そして赤血球中で増殖します。最初の症状は、通常感染後10日から4週間で現れ、48時間から72時間のサイクルで起こります。熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)が最も毒性の強い原虫であり、ほとんどのマラリア関連死の原因となっています[1] 。

全世界で、一般人および軍人の両方を含む33億人がマラリア感染のリスクがあるとされています[1]。世界保健機構(WHO)およびGlobal Malaria Action Planによると、2013年には1億9800万のマラリア症例があり、58万4000件の死亡原因であったと推定しています[1, 3]。最も罹患しやすいのは、小児、妊婦そして旅行者など疾患への免疫が少ない、もしくは全くない人たちです[1, 3]。流行国におけるマラリアの影響は非常に広範囲におよび、働き手の生産性損失、不十分な農業成長、外国投資や旅行事業の落込み、子供の学習障害などが起こっており、年間最大1.3%の経済成長失速の打撃を受けています。これらすべてが、国内総生産(GDP)に5%~6%の損失を与え、慢性的に国の繁栄力を削ぐものだとされています[4, 5] 。

マラリア感染予防は、主として個人による予防対策、媒介生物の抑制対策、および化学的予防により行われます。化学的予防およびACTsによる短期予防対策や治療は効果があるものの、薬剤耐性原虫の発生により、ワクチンなどのより効果が高く長期的な対策が強く求められています。

人体および蚊の体内で複数のステージを示すマラリア原虫は、複雑なライフサイクルを持つため、ワクチン開発が非常に困難でした。理想的なマラリアワクチンは、蚊から人への感染初期段階を阻害することにより、完全免疫を誘導します。弊社はi-αVLP プラットフォーム技術を用い、マラリア原虫のスポロゾイトのCSP抗原を標的とした前赤血球段階ワクチン、VLPM-01を開発しました。VLPM-01は、前臨床試験で非常に高い有効性が確認され、2016年前半に第I相試験の開始が予定されています。

デング

デングは、蚊により媒介され、デングウイルスが引き起こす熱帯病です。世界保健機構によると、デングは最も急速に広がっているウイルス性疾患であり、毎年5000万人から1億人がデングに感染し、30億人がデング流行国で生活しているとされています。この疾患を報告している国の数は、劇的に増加しており、近年日本などの熱帯に属さない国においても100例以上の新規感染が報告されています。認可されたデング熱の治療法はなく、予防については、数種類のワクチンが開発途上にあるものの、現在のところ媒介生物の抑制対策に限られています。

デングは、4種の近縁ウイルスであるデングウイルス1~4によって引き起こされます。この4種類のデングウイルスのうち1種に感染すると、同種のデングウイルスの再感染を防ぐことが証明されていますが、他種への感染を防ぐことはできません。さらに悪いことに、異種ウイルスによる2度目の感染では、より病気が重症化するようです。こういった複雑さから、4種のウイルス型すべてを長期に予防するワクチンが必要とされているのです。

VLP Therapeuticsでは、4種すべての型に対するVLPの製造に成功しており、現在動物を用いたコンセプト実証研究を実施中です。